労働時間には3つの種類がある!違いをわかりやすく解説|社労士us.office 勤怠管理システム導入支援
労働時間には、法律で定められた時間、会社が決めた時間、実際に働いた時間の3つがあります。この違いを理解していなければ、残業代の計算や勤怠管理でトラブルになることもあります。今回は、経営者・人事担当者が知っておきたい労働時間の基本を解説します。
労働時間には3つの種類がある
法律で定められた「法定労働時間」
法定労働時間とは、法律で定められた労働時間の上限のことです。原則として、次のように決められています。
・1日8時間
・1週間40時間
会社は、この時間を超えて自由に従業員を働かせられるわけではありません。法定労働時間を超えて働いてもらうには、原則として労使協定(36協定)の締結・届出など、法律で定められた手続きが必要です。なお、一定の小規模事業場では、週44時間の特例が認められる場合があります。また、変形労働時間制など、別の計算方法が認められる制度もあります。
会社が決めた「所定労働時間」
所定労働時間とは、会社が就業規則や雇用契約などで決めた勤務時間のことです。 例えば、次のような勤務形態があります。
〇会社A
・始業:9時
・終業:18時
・休憩:1時間
・所定労働時間:8時間
〇会社B
・始業:9時
・終業:17時30分
・休憩:1時間
・所定労働時間:7時間30分
このように、法律の範囲内であれば、会社ごとに勤務時間を設定できます。また、同じ会社でも、部署や職種によって所定労働時間が異なる場合があります。
実際に働いた「実労働時間」
実労働時間とは、従業員が実際に仕事をした時間のことです。例えば、所定労働時間が9時から18時までの会社で19時まで仕事をした場合、休憩1時間を除いた実労働時間は9時間となります。反対に、早退した場合は実際に働いた時間が短くなります。給与計算や残業時間の確認では、この実労働時間を正確に把握することが重要です。
労働時間の違いが残業代に影響する
会社の勤務時間を超えても割増賃金が必要とは限らない
残業には、大きく分けて2つの考え方があります。
・所定時間外労働: 会社が決めた勤務時間を超えて働くこと
・法定時間外労働: 法律で定められた労働時間を超えて働くこと
例えば、所定労働時間が7時間の会社で従業員が8時間働いた場合、会社の勤務時間は1時間超えていますが、法律上の1日8時間は超えていません。この場合、原則として超えた時間に対する賃金の支払いは必要ですが、法律上の割増賃金は発生しません。
一方、1日8時間を超えた労働については、原則として25%以上の割増賃金が必要です。ただし、会社の就業規則などで法律より有利な残業代のルールを定めている場合は、その内容に従う必要があります。
会社にいる時間がすべて労働時間とは限らない
労働時間は、単に会社に滞在していた時間とは異なります。例えば、昼休みに自由に食事をしている時間や、始業前に私的な用事を済ませている時間は通常、労働時間には含まれません。一方で、次のような時間は労働時間に該当する可能性があります。
・会社から指示された朝礼や清掃
・開店準備や業務終了後の片付け
・参加が義務付けられた研修
・休憩中でも電話対応などを求められる時間
重要なのは、会社の指示や管理のもとで仕事をしていたかどうかです。
テレワークでも考え方は同じ
在宅勤務やテレワークでも、労働時間の基本的な考え方は変わりません。自宅にいる時間がすべて労働時間になるわけではなく、実際に業務を行っていた時間を把握する必要があります。働く場所にかかわらず、勤務時間を適切に管理することが大切です。
経営者・人事担当者が確認したいポイント
勤務時間を正しく記録する
労働時間の管理では、従業員が実際に何時間働いたのかを正確に把握することが重要です。タイムカードや勤怠管理システムなどを活用し、始業時刻と終業時刻を適切に記録しましょう。特に注意したいのは、次のようなケースです。
・始業前の準備作業
・終業後の片付け
・休憩中の業務対応
・自宅での持ち帰り仕事
記録上の時間と実際の時間に差が生じていないか、定期的に確認することが必要です。
就業規則と給与計算のルールを確認する
残業代の計算では、法定労働時間だけでなく、会社が定めた所定労働時間も関係します。そのため、次の点を整理しておきましょう。
・始業・終業時刻と休憩時間
・所定労働時間を超えた場合の賃金
・法定労働時間を超えた場合の割増賃金
・残業を行う際の申請や承認方法
就業規則と実際の給与計算が一致しているかを確認することで、未払い残業代などのトラブルを防ぎやすくなります。
働き方に合わせた管理体制を整える
最近では、働き方が多様化しています。例えば、
・フレックスタイム制
・テレワーク
・シフト勤務
・短時間勤務
など、従業員によって勤務時間の決め方が異なるケースも増えています。そのため、全員を同じ方法で管理するのではなく、それぞれの勤務制度に合った管理方法を整えることが重要です。また、長時間労働を防ぐためにも、残業時間を定期的に確認し、業務量や人員配置を見直すことが求められます。
まとめ
重要ポイント
労働時間には、次の3つの種類があります。
・法定労働時間: 法律で定められた労働時間の基準
・所定労働時間: 会社が決めた勤務時間
・実労働時間: 従業員が実際に働いた時間
この3つの違いを理解することは、正しい残業代の計算や勤怠管理を行う上で欠かせません。特に、会社が決めた勤務時間を超えた場合と、法律上の労働時間を超えた場合では、賃金の取り扱いが異なることに注意が必要です。
経営者や人事担当者は、就業規則や勤怠管理の仕組みを定期的に確認し、実際の働き方に合った運用を行うことが大切です。労働時間を正しく管理することは、法律違反や未払い残業代の防止だけでなく、従業員の健康を守り、安心して働ける職場づくりにもつながります。
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代表 梅津亮太
北星学園大学3年時に行政書士、4年時に社会保険労務士試験に合格。学生時代から勤めていた税理士・社会保険労務士・行政書士事務所に就職し社労士の業務を経験。およそ3年間勤めた後、退職しカナダトロントに留学。海外生活を通じ価値観や人生観を学び、帰国後2020年6月に社会保険労務士us.office開業。クラウドシステムの導入支援をはじめ、多角的な労務業務の改善から労務相談まで対応。
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